人間はターミネーターじゃあない

最近マーケティングの調査でアイトラッキング結果を
麗々しく、しかも決定的な理由とさせている分析を
見かけるが、私はこのやり方にひどく違和感を覚える。
http://japan.cnet.com/marketing/eyetracking/story/0,3800081493,20370149,00.htm
このまるでターミネータの視線分析のようなやり方に
なぜそんなに気持ちの悪さを感じるか分からなかったが
最近読んだ本で納得した。
やはり茂木健一郎がらみの本である。
ここでロボットについて語っている下りがある。

そうこういうことなのだ。
人間という存在は目から光を出してものを
見ているのではなく、視線をくゆらせるのだ。
視線の向こうでどんな思いをさせるか
それは見たという行為で一義的に決まる
ものではないはず。そうであるのに
あたかもされが決定的な証拠のごとく
分析するのは人間というものを放棄している
のに等しいのではないか。

茂木健一郎といえば、最近NHKでやった番組、
中村勇吾というWEBデザイナーにフィーチャーした
プロフェッショナル...をご覧になった方がいるだろうか。
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/080401/index.html

やや楽屋落ちのような話だが、最近部門名が変わった
NEC関係者が画面に2度ほど出てきた。
中村勇吾氏は、「エコトノハ」というNECとしては
珍しくおしゃれなサイトを構築した張本人で、
番組でも企業名を抜きにサイトの紹介をしていた。
これが中村勇吾を有名にしたサイトという言い方
だったので、NEC関係者としてはうれしいことでは
あったが、折角こうしたヒットがあるのに継続性がないのが残念である。
それにしても、私には、中村さん自らプログラム言語を
駆使している姿の方が衝撃的だった。
いわゆるプログラマーの世界ではない。
完全なクリエーターとでもいうか。
しかも彼は全くの独学で言語をマスターしたという。
その基本は人のマネをすること。グローバルレベルで
面白いサイトを見つけてその裏を調べて技術を盗む。
彼がいうのは、順番に教科書を勉強するようではダメ。
今旬なものを旬なうちにマスターし、次が出れば
今のものを捨てて次に移る。その「感覚」が重要なのだと。
移ろいやすいものをそういうものだと認識したうえで
直感を重視してデザインする。
こちらの目は人間の不可思議さを十分に受容しているので
はずれる可能性が少ない。
(この感覚ですね。をやっていると飽きません。
http://www.nhk.or.jp/professional/mogi_moja.html

一方でターミネーターに近づこうとしているのは
明らかに方向違いでしょう。