Search Engine Strategies Conference & Expo 2006 Japan(SES)

                         受講報告
・開催日時・場所
  2006年4月20日(木)〜21日(金)
  東京ファッションタウン「TFTホール」

・概要及び評価
  日本最大級の検索エンジンにフォーカスした専門イベントということで
  今回が3回目の開催。このイベントは米国をはじめとする世界各国の
  主要都市で開催される。検索エンジンというのでgoogleが出て来るのかと
  期待したが、今回はyahoo及びオーバチュアがメインのイベントであった。
  オーバチュアもyahooに買収されているので実質的にはyahooの考え方を
  説明するイベントと言った方がよいかもしれない。但し、参加している
  企業は勿論複数あり、参加者も初日は台風のような悪天候、しかもあの
  「ゆりかもめ」利用が強いられる場所にも関わらず、かなりの人数であった。
  500名収容のホールがメイン会場だったが、常に満席で立見が出る状態だった。
  さすが今一番注目される技術(SEO/SEM)に特化したセミナー
  だけあるな、という感じである。有償のセミナーには珍しく、資料の配付
  がないので、メモに頼るしかない状態だが、全般的な印象は以下の通り。
  
  ・《検索サイドの勢い》
   「検索」は今や購買プロセス全体に大きな影響を及ぼす「要素」となっており
   この勢いは、2,3年後までは続くだろうといのが彼らの読み。yahoo幹部が
   アメリカの学生を例に上げて説明していたが、彼らは、インタネットなしには
   生活できず、10人中6人は1日に少なくとも1回は検索を使う。そして、その中で
   検索に対する信頼度を高め卒業して社会人となっていく...。
  ・《モバイル検索》
   従って、その有効活用は(SEO/SEM)は企業として当然行うべき活動
   であるが、大企業での活用事例が実はまだ少ない。最近の動きとしては大手の
   モバイル検索サービスが続々と開催されたことが一つの傾向となっている。
   これは、特に日本で顕著(3G携帯利用者4800万の4人に1人はモバイル上で
   検索)yahooもスポンサードサーチ@モバイルを2006/3にリリースしたばかり。
  ・《Web2.0について》
   Web2.0をどう考えているかについては、開発者(と言っても殆どがCIOだったり
   するが)の多くが、「(その考え方は)以前からあったもので特に目新しい
   ものではない」という物言いだった。ちょうど同じ頃日本でビル・ゲイツ
   同様の発言をしていたのは偶然だろうか。
   (http://www.sbbit.jp/article/art.asp?newsid=1249
   この問題は、言葉の定義で逃げてしまうと本質を見失うと思うが。
  ・《参加者動向》
   上にも書いたが、パネルディスカッションに出てくるパネラーは
   それぞれある程度この業界では著名な(多分?ですが)会社の代表(CIOか
   事業部長クラス)ですが、彼らは圧倒的に若い!多分30代そこそこか。
   だが彼らは、大変自信を持った話し方をし、技術に明るいのが特徴で
   修羅場経験が豊富な感じであった。中でもモバイル系が特に若い。
   一方、観客の方も若手中心(一部新入社員も混じっていたかもしれないが
   有償セミナーなので実務者中心だと思う)に年配者が混じっている様子。
   
・個別講演から
  少し長くなりますがネットレイティングスの萩原社長の講演がデータ的に
  面白かったので以下に載せます。
 (萩原氏は、3年間同じテーマ、「日本人のWeb検索行動の変化」で講演を行い
  データの変化を説明している。)
  
 ●重要検索サイト基本指標(日本)
       利用者数    リーチ   
  yahoo   2600万     64.5  ロボット検索
       (1200万)   (29.7) カテゴリ検索 
  google   1400万     34.7
  MSN     650万     16.0
  goo     220万     5.5
 
 ● 2005年10月のYahoo Japanの検索方法変更(注1)による利用率への影響
   ユーザ数は変わらず、PV(ページビュー)数が大幅に増えた。(1.5倍)
  (注1) 検索方式のデフォルト(既定方式)を、カテゴリ検索からロボット検索に
   変更したこと。カテゴリ検索も残っている。

 ● 検索ポータルサイトの利用率(リーチ)は、この5年間ほとんど増加していない。
  (2000年頃から、90%を超えた水準で推移している。)
   しかし、利用者数は大幅に増えている。
   エンターテイメント、コマースがこの3年間で2倍に増えている。

 ● Yahoo JapanとGoogleの比較
  利用者数、リーチ、PV いずれもYahoo Japanが上位であるが
  1人当たりのPVではYahoo JapanとGoogleとの差は接近してきている。

 ● Yahoo JapanとGoogle 利用者の属性による比較
  (1) Yahoo JapanとGoogleの利用者数の比は、年代によらず一定
    どの年代も Yahoo Japan/Google比は 1.8〜1.9で、同じ。
  (2) 女性はGoogleをあまり使わない。
    利用者数の男女比は
     Yahoo Japanの場合 男女 同じ
    に対して
     Googleの場合 男 40%  女 28%
  (3) 小中学生は、ほとんどがYahoo Japanを利用している。Google利用者は少ない。
   ※ 上記(1)の例外


■ 次に海外(欧米諸国)との比較(これが日本の特徴を示し要注意!)

 ● 日本 および 欧米諸国におけるYahoo と Googleの利用者数の比較

  (1) 日本ではYahooの利用者が圧倒的に多い。
  (2) 欧米諸国では、Googleの利用者が多い。
  (3) 特にヨーロッパでは、Google利用者が約70%前後を占める。

  具体的な数字(リーチ)は、次の通りです。

    日本   Yahoo 65%、 Google 35%  
    ( Yahoo(カテゴリ検索) 29% (注2))
    アメリカ Google 54%、 Yahoo 28%
    イギリス Google 70%、 Yahoo 16%
    フランス Google 75%、 Yahoo 12%
    ドイツ  Google 66%、 Yahoo 10%

 (注2) Yahooカテゴリ検索(ディレクトリ検索)の利用率が高いことは、日本特有の
  現象。

 ● 日本では、Googleの利用率だけでなく
  Googleの利用頻度そのものが、欧米に比べて少ない。

 ● 各国とも、Googleの利用率がこの2年間で、著しく上昇している。

 ● 今年の注目点としては、Googleの新サービスでこれらは着実に浸透
  してきている
  (googleは検索のみならずこれらのサービス全体で攻めてきている)
   ・GoogleマップGoogleローカル
   ・Googleデスクトップ検索
   ・Googleビデオ
   ・Google Earth   など

以上