古都の夏

前から思うところあり、盛夏の京都に出かけた。今日は8月16日、京都は送り火の日だ。いわゆる大文字焼き。そのためかすごい人出。そして思い通りの暑さだ。東京は雨が降っていたが、新幹線を降りた瞬間、圧倒的な暑さにさらされる。昔、京都で仕事してたことがあったが、あの時に感じた暑さだ。下鴨近くの郵政ビル屋上で、徹夜仕事の合間に、皆で送り火を見た。山が近くとてもいい眺めだった。だから送り火はもういい。
今日は、日帰りなので、まずは清水へ。ひどい渋滞のなか、タクシーで参道まで。まだ10時近くなのに、もうかなりの人出だ。8月初旬から今日まで、清水寺は千日詣りとのこと。千日詣りとは、「一年の中で最も大きな功徳となる観音の縁日で、これらの一日の参詣だけで千日分のお参りの功徳があり、ご利益がさずけられるとされる」とのこと。ラッキー!いつもは見られない本堂内々陣特別拝観にも参加。薄暗い中に入ると、立派な仏像が並び、それらを一回りすると拝観場所がある。ひもにさわって鈴を鳴らす。なかなか由緒ある雰囲気だ。あの人の幸福を祈る。清水の舞台を見に来たのだが、以前以上に傷みがひどくなっている。これだけの人が舞台を毎日踏むのだから仕方がないが、何とか持ちこたえてもらいたい。清水で既に汗だくになってしまったので、参道を少し抜けたところにあったイノダ珈琲に入る。立派な店構えで、初めて入るが感じ良し。空いているのでもっとよし。アイスコーヒーがとても美味。イノダの珈琲は独特の苦みがあるが、アイスにすると美味しさが引き立つようだ。汗も引きゆっくりできた。さて、いよいよ本日のメインとなる、祇園丸山へ。昼少し前に、この店に入る。清水からそれ程距離はない。建仁寺という寺の近く。京都でいうと「建仁寺東側東入る」。民家を改築したお店。佇まいがとてもいい。入って直ぐの待合いもゆったりとしていて落ち着く。猛暑の中、玄関に氷柱が置かれている。見ただけで涼しさと優しさを感じる。人工の涼しさとは全く別の仕組みで、こんなにも涼気を増すものであることか。2階の個室に入る。畳の部屋に黒いテーブルと椅子が置いてある。暑いときはこんなスタイルがとても気持ちいい。ビールを飲みながら料理を待つ。大きな蓮の葉に乗せられて最初の料理が出る。ひょうたんがこの店のトレードマーク。箸置きもひょうたん柄だ。巨大な蓮の葉にも、ひょうたんを半分に切り内側を銀で彩色した器が乗せられている。鱧と鯖のお寿司。量は少ないが味がいい。付け合わせのトウキビが甘い。次がお刺身。白身魚は「ハト」という。脂がのって実にうまい。鮪も少し種類が違うようだ。焼き物は、鱸のカマだ。これが実に身沢山。カマといっても、骨がほんの少しだけで、皮も含め殆ど食べられる。緑のソース(?)がかかっているのだが、緑は抹茶らしい。やや酸味が効いた味で、魚によく合う。思わずかぶりついて食べてしまった。箸休めはソーメン。涼しげな一口飲みグラスに入れられて出てくる。ウズラの卵が入っていて汁とベストマッチ。これもあっという間に食す。そして煮物。鰊を甘く煮たものが添えられている。鰊蕎麦に入っているものと同じ。全体的にここの懐石は量が多い。普通の懐石料理の1.5倍は軽くある。従って、ここまでで結構ボリューミー。そしてご飯と漬物、お味噌汁となる。このご飯が大変。小さなお釜で炊きあげたものをそのまま運んできたが、とにかく美味い!ご飯の粒が立っているとか何とかいう前に、とにかくご飯そのものが美味しい!お味噌汁も美味いし、漬け物もグッド。最初はご飯に漬け物で食べたが、その後お茶漬けに変更。出されたお茶も香ばしくておいしい。番茶が、どうしてこんなにいい味をだすのか。冷えた麦茶も香ばしく甘い。お腹が一杯なのに、最後まで食べ尽くす。そして最後は、デザート。バナナアイス、メロン、ブドウを中心に「じゅんさい」ゼリーが添えられている。バナナアイスが抜群に美味しい。ということで1時間半くらい実に美味しい懐石料理だった。このあとは腹ごなしもあって、錦市場に出向く。とても暑いが、この市場、本当に美味しいものがたくさんある。小さな店が寄り添っていて、それぞれ専門店になっていて面白い。こんなところにいたら食材に飽きることはない。京都はすごいところだ。本来は、長年の懸案だった葛切りを食べる予定だったが、今日は鶴谷吉信本店に行くことにした。京都御所の近く。それ程大きな店ではないが、お茶を飲める場所が、2階にある。ここで宇治金時を頂く。この氷水で驚いたのは、その氷の細かさだ。本当にきめ細かい氷だ。これなら頭も痛くならない。予想通りの美味しさで満足。日帰り旅の最後は、夕食の調達。本日は、お肉、ビーフカツが抜群に美味いという店で、ビフカツサンドを作ってもらう。「はふう」という妙な名前のレストラン。一部の雑誌で有名。ある人からも推薦があり、行ってみることにした。これも御所の近く中京区。「麩屋町通り夷川上る」というとタクシーには分かるらしい。地図を頼りに歩いてようやく見つけた。普通の街の中に突然レストランがある。この麩屋町は家具の町らしい。行ってみると、水曜日は休みだが今日はOKだった。しかしランチが終了したところだったので、お店の人達は休憩中。かまわず店のドアを開けると、お昼寝中でした。何とかカツサンドを5時半に作ってもらうことにした。少し時間があったので、お茶などしながら時間をつぶす。そしてこのビフカツサンド、帰りの新幹線でいただきました。今まで食べたカツサンドの中で問題なくベスト。ずっしりとしたお肉と絶妙なソース、これはすごい!和食もいいけど洋食もね、っていう感じであった。満腹でゆっくり睡眠を取る。